データベース管理者(DBA)が効果的に作業できるかどうかは、DBA がその作業に使うスキルと知識、また情報システム(IS)全体の運用における DBA の役割に依存します。 このセクションでは、DBA の役割の定義方法、IS 部門と DBA の関係について説明し、その関係から最大の利益を得るための提案を行います。
このドキュメントでは、次のトピックについて説明します。
データベースの使用を必要な程度にコントロールできるよう、また、ユーザー部門内の適切なレベルとコミュニケートできるよう組織内でも十分に高い地位に DBA を配置すべきです。 しかし、データベースの使用を監視し、新規アプリケーションの選択やアドバイスを行い、データベースの必要なレベルのデータ完全性を維持するという日々の処理からかけ離れてしまうほど高い地位にすべきではありません。
DBA の適切な位置付けと報告体系は、組織の性質と規模に依存します。
普通、DBA の地位はシステムマネージャ、プログラミングマネージャおよびオペレーションマネージャと同様、職務上のマネージャとして置きます。 データベースの一連の操作について全面的に直接の責任を負う必要があります。 また、DBA は DBMS 準拠の標準化について理解させ、遵守させる責任も負うため、プログラミングと IS オペレーションの標準化全般を管理する権限の一部を DBA にも与えておくと、その責任を果たしやすくなります。
DBA には、部門の調整能力、高い技術力、折衝能力、監視能力が不可欠です。 DBA は、公正な人物であり、データベースの問題を両サイド(IS 部門とユーザー部門)から見ることができ、どちら側にも偏らない人物であるべきです。 組織全体の利益を考え DBA は思慮ある判断を下さねばなりません。
DBA には次の能力も必要です。
データベース使用に関連した各種標準事項や手順を設定し実施させるための管理能力
使用しているオペレーティングシステムソフトウェアや DBMS について、深い知識があり、ハードウェアパフォーマンスに影響する因子がわかるだけの技術的能力
既存アプリケーションや将来のアプリケーションについての深い知識
アプリケーションの要求を満たす効果的なデータベース設計を行えるだけの設計能力
中規模から大規模のインストレーションでは、DBA は 1 人ではなく、小人数のチームから成っていることが多く、 この場合、チームのそれぞれの人物が、それぞれ専門の知識を持ち、データベースリソースの管理作業を分担します。
小規模のインストレーションでは、DBA チームを構成するのは困難ですが、必要なすべての能力を持った個人をみつけるのは不可能でしょう。 この場合は、システムプログラマ、シニアオペレータ、シニアアナリスト等の他のスペシャリストから専従ではなく一時的に支援してもらい DBA の役割を果してもらうようにしてください。
DBA の職務がまっとうしやすくなるように、IS 部門とユーザー管理部門には DBA の役割の重要性について認識してもらい、支援を受けられるようにする必要があります。 DBA は、データベース操作やデータベースが組織に提供するサービスについて深い知識を持っています。データベースの使用や設計を含むすべての事項についての権限を有する担当者として、DBA を扱う必要があります。
原則として、データベース環境の整合性が維持されるように、データベースに影響するすべての決定には DBA を参加させるようにしてください。 また、経営陣が考えるよりもコスト効果の高いソリューションを DBA が提案できる場合もあります。
DBA の役割を設定するときにあり得る落し穴を次に示します。
DBA の組織内の位置が低過ぎる(権限が不十分)。 DBA がその責任を十分に果たせるようにするには、DBA の責務に見合った権限が与えられていなければなりません。 DBA は IS 部門の組織からかけはなれた位置に置いてはならないし、DBMS 環境で業務するときは必須の役割と考えるべきです。 DBA は、各部門のマネージャ達の協力、支援および敬意が必要であり、DBA 業務を行うのに十分な権限が与えられていないと、マネージャ達の協力も得られません。
DBA の組織内の位置が高過ぎる(権限が過剰)。 DBMS 環境の運営がスムーズに行くようランク付けすべきであり、書類の山や、不要な制約処理や押しつけ管理のために現場を停滞させるべきでありません。 過少権限と過剰権限との境界線は狭いのですが、組織ごとにこの境界線を認識し、はっきりと仕切らねばなりません。
DBA の役割や責任範囲が未定義。 DBA は、必要な役割を DBMS に適用できるように、その役割を果たすための権限を持っている必要があります。 IS 部門とユーザー部門の両方からマネージャが参画して、組織に何が必要かを十分考慮した後、これらの役割を決める必要があります。 役割が決まったら、DBA は、その職務を果たすために必要な手順を策定します。
DBA のマネージメントとしての経験が不十分。 DBA の役割は、経験の浅いマネージャが修練を積むことではありません。 管理上の専門知織がかなり必要であり、特に人間関係が重要です。