はじめに

AEO を使用する代表的な例は、データベースにほとんど空きがなく、追加のディスクスペースを割り当てる必要がある場合です。AEO を使用しない場合、DBA は使用可能なディスクスペース量を定期的にモニタし、ある危険な限界に達するときは、データベースにディスクスペースの割り当てを追加する準備をしなければなりません。AEO を使用する場合、DBA はそのモニタリングおよび追加ディスクスペースの割り当てを自動的に行うことができます。DBA はある制限に達したときにデフォルトで行う処理(例えば、データベースの使用率が 90 %になったらディスクスペースを割り当てるなど)を指定できます。そして、指定された制限に達すると、AEO は、必要なディスクスペースを自動的に割り当てます。

これは、AEO に割り当てることができる、日常のさまざまなデータベース管理タスクの 1 つの例です。このような管理タスクの多くから DBA を解放するとともに、人為的ミスや過ちを最小限に減らし、要求されたときに必要な管理作業を正確に行えるようになるので、データベース環境の信頼性が高くなります。

AEO は次の領域で使用できます。

  • トラブルシューティング

  • レスポンスコードのロギング

  • 自動データベースバックアップの作成

  • パフォーマンス解析

  • データベースコンフィグレーションの管理


Adabas 拡張オペレーションの動作方法

標準 Adabas 環境は次に挙げるコンポーネントで構成されています。

  • Adabas ニュークリアス

  • Adabas ユーティリティ

  • データベースコンテナファイル

  • Adabas という名前のニュークリアス起動ユーティリティ(PC プラットフォームのみ)

  • データベースログファイル adanuc.log

  • シーケンシャルデータベースファイル(例:NUCPLG、NUCCLG)

AEO は次に挙げるコンポーネントを追加して、この環境を拡張します。

  • イベントアナライザ

  • ログフィルタ

  • アクションフィルタ

  • 各 Adabas データベースのコンフィグレーションファイル

  • すべての Adabas データベースに共通するコンフィグレーションファイル

  • 一連の管理コマンド(例:データベースの開始および終了)

AEO 環境では、データベースログファイルは以前ほど重要ではなくなりました。これは、データベースログファイルの内容が共通ログファイル ADABAS.LOG にも書き込まれるようになったためです(下記参照)。

イベントアナライザ

イベントアナライザ(AEO アナライザまたは単にアナライザとも呼ばれる)は AEO のコンポーネントで、Adabas ニュークリアスや Adabas ユーティリティが生成したイベントメッセージを受け取り、イベントの性質に応じてログフィルタアクションフィルタに渡します。

ファイルやレコードの作成などのデータベースイベントは、イベントアナライザに報告されます。イベントがすぐに対処する必要のない単なるステータスメッセージの場合、ログフィルタに渡されます。

データベース管理上、すぐに何らかの対処が必要なデータベースに更新を行った場合、イベントがアクションフィルタに渡されます。

ログフィルタ

ログフィルタはイベントアナライザからイベントを受け取り、ログファイル ADABAS.LOG に書き出します。このログファイルでこれらのイベントを解析できます。

Adabas コンフィグレーションファイル(ADABAS.INI)

AEO を Adabas 環境で稼動させるには、単一コンフィグレーションファイル ADABAS.INI が存在している必要があります。このファイルには、データベースの開始時に AEO で使用されるグローバル情報が含まれています。この情報は、データベースセッション時に、AEO オペレーションのパラメータを設定するために使用されます。ある特定のデータベースに対して DBnnn.INI ファイル(下記参照)がある場合、それに含まれる情報は ADABAS.INI に指定された情報を上書きします。ADABAS.INI の管理およびその内容の詳細については、「コンフィグレーションファイル」の「ADABAS.INI」を参照してください。

データベースコンフィグレーションファイル(DBnnn.INI)

Adabas 環境のデータベース DBnnn(nnn はデータベース番号)で AEO を稼動させるには、対応するコンフィグレーションファイル DBnnn.INI が存在している必要があります。このファイルには、データベースセッション時に AEO オペレーションのパラメータを設定するために、データベースが開始するときに AEO が使うグローバル情報が含まれています。このファイルに指定されている情報は Adabas コンフィグレーションファイル ADABAS.INI に指定された情報を上書きします。DBnnn.INI ファイルの管理およびその内容の詳細については、「コンフィグレーションファイル」の「DBnnn.INI」を参照してください。

アクションおよびアクションフィルタ

コンフィグレーションファイル ADABAS.INI および DBnnn.INI 内のトピックおよびサブトピックの多くは、関連するアクションを開始するために使用されます。このようなアクションはテンプレートの形で提供されます。通常、該当するイベントが起こるとアクションが開始します。そのようなアクションの例としては、データベースに必要な再編成を行うために Adabas ユーティリティを自動的に呼び出すアクションなどがあります。また、他のアクションとしては、DBA が介入する必要のある状況を示すために、DBA の端末に警告メッセージを出力することがあります。イベントは Adabas ニュークリアスでも Adabas ユーティリティでも初期化できます。通常、これらのアクションは AEO の制御下で開始されます。この規則の例外として、2 つのアクション ARCHIVE_LOGFILE と SAVE_DB があります。

アクションフィルタはイベントアナライザからイベントを受け取り、イベントの性質に応じて、事前に定義されたアクションを実行します。

管理コマンド

AEO はデータベース管理を簡単にする管理コマンドを提供します。次のコマンドを利用できます。

adaini:コンフィグレーションファイルに格納されている情報を取得および変更する
adainst:ファイル ADABAS.INI を作成および更新する
adakill:データベースを直ちに停止する
adalog:Adabas ログファイルを表示する
adaset:他の管理スクリプトが必要とするデフォルトのデータベース番号をセットする
adashow:データベースに関する一般情報を表示する
adastart:データベースを開始する
adastop:データベースを正しい手順で終了する

重要:
AEO を有効にするには、トピック NODE_PARAMETER 内の項目 ACTION 、サブトピック ANALYSER を "yes" に設定する必要があります。詳細については、「管理コマンド」の管理コマンド adaini を参照してください。

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Adabas Extended Operation environment