インスタンスの表現
オブジェクト指向モデリングでは、一般にオブジェクトはタイプ レベル (つまり、クラス レベル) で記述する必要があります。ただし、個々のインスタンスをモデル化することも推奨します。ARIS で提供されるシンボルは、角の丸い青の長方形で表されます。
クラスの表現
クラスは、モデルを作成する対象の基本的な領域構造を表します。ARIS では、クラスを 2 本の水平線付きの青い長方形で表します。
クラスへのインスタンスの割り当て
インスタンスを図示すると、関連するクラスへの割り当てを示すことができます。対応する接続線は、下に図示されるように [インスタンスである] タイプです。
クラスへの属性の割り当て
クラスの性質は、属性を使って定義します。ARIS でモデル化する場合、属性は、[属性を持つ] タイプの接続線を使用し、別個のオブジェクト (したがって別個のシンボル) として対応するクラスに接続します (次の図を参照)。この 2 つのオブジェクト タイプ (クラスと属性) を別々にしておくことにより、ARIS のナビゲーション機能とレポート作成機能を最大限に活用できます。
属性ごとにクラス属性 (その値がそのクラスのすべてのインスタンスに関連する) か、インスタンス属性かを指定できます。
クラスへの操作の割り当て
クラスに機能を割り当てるには、操作 (メソッド) を定義します。ここでも別個のオブジェクト タイプを使用でき、これを [操作を持つ] タイプの接続線を使用してクラスに関連付けます (次の図を参照)。
インスタンス間の関連
個々のインスタンスは、互いに関連付けることができます。ARIS では、これらの関連を方向性のない [結合される] タイプの接続線で表します。
クラス間の関連
リンク (関連) は、クラス間にも作成できます。これは、ERM (実体関連モデル) で頻繁に使用する関連です。この関連は、ERM のシンボル (黄色い菱形) で表します。同様にして、n 項関係を表すことができます (以下を参照)。接続線をクラス シンボルから菱形のシンボルまで描き、複雑度は接続線の [多重度] 属性を使用して割り当てます。多重度として次のエントリを指定できます。多重度には、次の 4 種類があり、それに対応する図形表現を持つものもあります。
クラス間の n 項関連
3 (または n) 個のクラス間の関連は、3 番目またはこれ以上のクラスを、関連を定義する菱形に接続して表します。
クラスとしての関連のモデリング
関連を独立したオブジェクトと見なし、クラスとして解釈することができます。これは、菱形シンボルからクラス シンボルへの有向接続線で表します。クラス シンボルでは、すべての属性と操作を列挙します (次の図を参照)。この「再解釈された」クラスをほかのクラスに関連付けることももちろん可能です。
限定子付き関連の表現
限定子付き関連によって、通常の関連に資格情報が付加されます。この情報は、関連の多重度を低減する付加属性です。この方法によって、関連の m 側のオブジェクトが区別されるため、1:m 関連や n:m 関連において有用です。
限定する関連は、接続線に限定情報を付加することで表します。この目的のために、[限定子] 属性が提供されています。すべての属性と同様に、これはグラフィックでも表示できます。
関連の順序の表現
関連の n 側のオブジェクトに順序がある場合は、これを明示的に図に表すことができます。この目的のため、[クラス] および [関連] シンボル間の接続線には別個の属性を使用します。
クラス間の集約
集約は部分と全体の関係を表し、関連の特別な形式と見なすことができます。この関係は、クラス間の有向接続線 ([集約する] 接続線タイプ) としてモデル化されます。図では、白い菱形のシンボルで「全体」(コンポーネント グループ) を表すクラスを示します。
汎化と継承
オブジェクト指向モデリングの基本的な構造の 1 つは、クラス間の階層の定義です。この階層内で、下位クラスは上位クラスの属性および操作を継承できます。ARIS では、この目的に使用できる別個のオブジェクト タイプがあります (緑の三角形)。所属するクラスに関連しています (次の図を参照)。多重継承も表すことができます。
汎化演算子に、汎化/特化に使用する側面を表したり、特化が分離されるか分離されないかを表したりする属性を割り当てることができます。
クラス、属性、および関連に対する制約
制約は、OMT オブジェクト モデルのクラス、属性、および関係間の機能的な関係を表します。ARIS では、別個のオブジェクト タイプ (点) が属性の制約に定義されています。次の図に、ウィンドウの縦横比が 0.7 から 1.7 の値をとることを表す例を示します。
関連を参照する制約を定義することもできます。次の図の例では、委員会の役員を構成するメンバーの集合は、必然的に委員会のすべてのメンバーのサブセットを表すことを示します。この制約を関係シンボル間の有向接続線で図示します。
OMT オブジェクト モデルの例
次の図に、主なモデリング要素を含む OMT オブジェクト モデルの典型例を示します。