ファンクション割当図 (I/O)

イベント駆動プロセス連鎖 (EPC)」の章で説明したイベント制御の表現に加え、入力データから出力データへの変換とファンクション間のデータ フロー表現が、ARIS 概念におけるデータ ビューとファンクション ビューの間の関係を形成します。入力データから出力データへの変換は、いわゆる [ファンクション割当図 (I/O)] で表します。これは、基本的には、ほかの手法で使われている入出力図に相当します。次の図に、ファンクション割当図 (I/O) の例を示します。「出荷日を決定する」ファンクションの入力データは、「部品一覧データ」、「部品データ」、「在庫データ」および「出荷データ」です。「引合データ」は、入力データおよび出力データとしての役割を果たします。このように、[ファンクション割当図 (I/O)] には、ファンクション ビューのファンクションと、データ ビューの情報オブジェクトが含まれます。矢印は、情報オブジェクトが、入力データ、出力データ、または入出力データのいずれとしてのみ使用されるかを決定します。たとえば、ファンクションが情報オブジェクトを作成したり、削除したりすることを示す、詳細な指定もできます。詳細さの度合いによって、情報オブジェクトは、データ ビューの [クラスター/データ] モデル、[エンティティ] タイプ、[関係] タイプ、または属性になります。

ファンクション割当図 I/O (1)

この図は、ファンクションの入出力データを表すという、ファンクション割当図の実際の目的を示しています。

[ファンクション割当図 (I/O)] ではファンクションの入出力データのほかにも、EPC 内のイベントやファンクションに割り当て可能なすべてのオブジェクトが利用できます。このように、EPC 図では、プロセス連鎖のモデリングをイベントとファンクションの記述に限定しておき、各ファンクションを、ファンクションが持つその他の関係をすべて含む割当図 (I/O) に割り当てることができます。これにより、業務プロセスの表記法がさらに明確になります。また、このモデル タイプに新しい名前を使用することが説明されます。次の図に、ファンクション割当図のより詳細な表現の例を示します。

ファンクション割当図 I/O (2)

[ファンクション割当図 (I/O)] にデータ変換の方法を表すかわりに、この情報を [EPC] に含めて表現することもできます。次の図に例を示します。この場合、ファンクションと情報オブジェクト間の関係は、[ファンクション割当図 (I/O)] の中の関係と同じ役割を果たします。ただし、これらの関係を分岐が多いプロセス連鎖に含めると、表示が非常に複雑になります。

EPC I/O (1)

PCD (プロセス連鎖図) では、オブジェクトは列の説明に従って配置されます。EPC で表示することにより、自由なオブジェクトの配置が可能です。ただし、入出力データを追加すると、モデルは複雑でわかりにくくなります。したがって、業務プロセスを実行される順番に示すには、特に PCD 表示を推奨します。次の図は、上の図で PCD で示した入出力データを EPC で表したものです (「EPC/PCD」の章も参照)。

EPC I/O (2)