ユース ケースは、与信処理のビジネス フローの一例です。次に説明する変更管理アクティビティは、プロシージャ モデルで説明したアクティビティに対応します。ユース ケースで識別された改善の可能性に従った変更すべき既存の与信申し込みが開始点となります。
記述されているプロセスとデータベースは架空であり、変更管理プロセスと ARIS の変更管理機能を説明するためのものに過ぎません。
シナリオ
与信申し込みが受け取られた後、モデル ユーザーである責任者は、QM データベースを参照して処理手順と承認手続きに関する情報を入手します。責任者は、可能なプロセスの改善についてプロセス担当者に通知します。プロセス担当者は、改善管理者を関与させてプロセス変更が導入されるように手はずを整えます。改善管理者は、モデル作成者によってプロセスが調整されることを確実にします。これで、プロセス担当者は変更されたプロセスを公開できるようになります。
ユース ケース
1.プロセスの実行
与信申請を受け付け、「与信審査」プロセスが開始します。
責任者は書類受けの与信申請を見つけ、内容を理解するために申請データを確認します。
認証ルールと期間における変更を考慮できるように、責任者は現在のプロセス記述を参照する必要があります。責任者は ARIS でモデル化されている与信審査プロセスを開き、現在の処理手順を参照して情報を入手するために会社の QM データベースを使用します。与信申請数のため、責任者の上司がまず申請の処理を許可する必要があります。処理が承認されたら、責任者は与信申請を処理します。次に、上司は与信の支払いを許可する必要があります。
責任者とその上司が「与信処理」モデルに記述されているアクティビティを実行後、与信の処理は完了します。プロセス担当者はプロセス フローを評価できます。
2.プロセスの監視
プロセス担当者は、適宜、または特定の情報によりプロセスが変更されたことが示された際、プロセスの実行を監視します。変更の理由には、たとえば新しいツールや組織の再構築などがあります。
プロセス担当者は、すべてのプロセス関係者にプロセスにおける変更を通知することにより、および現在のバージョンの QM データベースへのアクセスを確実にすることにより、定義されたプロセスが準拠することを確実にします。また、プロセス担当者はすべてのプロセス関係者と現在の手順について話し合います。
プロセス担当者がプロセス関係者から受け取る情報のほかに、プロセス担当者は ARIS から入手した KPI (処理時間など) を使用して、現在のプロセスを評価します。この情報によって、プロセス担当者はほかの改善の可能性を見極めることができます。たとえば、次の改善の可能性および結果を検出できます。
3.プロセスの再評価
プロセスの完了後、責任者は経験に基づいて与信の処理を再評価できます。処理中に、変更する価値のある好ましくないプロセスが識別されたかもしれません。
与信申し込みを処理する際に、責任者は処理を高速化できる可能性があることがわかりました。受け取られる与信申し込みの大部分は、通常、議論する必要なく受け入れられるため、責任者は、申し込み処理責任者が申し込みの事前選択を行えるようにすることで、処理を大幅に改善できることに気付きます。
責任者は、プロセス担当者と提案について話し合います。申し込み待機時間と調整にかかる時間が大幅に削減されるため、両者とも提案によりプロセスが大きく改善されるということで意見が一致します。
責任者とプロセス担当者は、モデル変更を提案することにします。議論の余地がある与信申し込みの手順は変更されず、議論の必要のない与信申し込みの手順を再定義します。
責任者は、ARIS を使用してモデル変更の提案を入力します。
改善の提案が保存されると、改善管理者がこれらを利用できるようになります。
改善管理者がダイアログ ボックスを閉じると、担当のモデル作成者はタスクを見ることができるようになります。
6.モデルの調整
タスクを呼び出すために、モデル作成者の山本は [エクスプローラー] タブで QM データベースを開きます。
このモデル作成者は QM データベースの名前を選択して、[内容] タブ バーで [変更管理] の [改善の提案の表示] をクリックします。 ダイアログ ボックスが開き、モデル作成者の山本に割り当てられている提案が一覧に表示されます。 山本に割り当てられている提案のみ表示するように指定できます。
モデル作成者の山本は、ほかのタスクを行う必要があるため期日までに作業を行うことができないことに気付きます。 そのため、モデル作成者の山本はその旨を入力して、ステータスを [延期] に設定して、ダイアログ ボックスを閉じます。
モデル作成者の山本は改善措置を導入できないため、改善管理者は定義した措置を修正する必要があります。
改善担当者は、変更タスクをモデル作成者の大田に割り当てます。
モデル作成者の大田は、自分のタスク一覧に「与信処理」モデルに関する措置があることを確認して、モデルの変更を実施します。
その後、モデル作成者の大田はその旨を入力して、ステータスを [完了] に設定して、ダイアログ ボックスを閉じます。 定義した措置が実装されました。
改善管理者は、措置のステータス変更を確認するために出力します。 [改善の提案の編集] ダイアログ ボックスで、改善管理者は措置が導入されているかどうかを確認します。 確認後、改善管理者は [完了: すべての変更管理属性をリセットする] チェック ボックスをオンにします。 ダイアログ ボックスを閉じた後、改善の提案はアーカイブされ、モデルの [変更管理の履歴の表示] ダイアログ ボックス ([内容] の [変更管理] の [履歴] タブ バー) で出力されます。
改善管理者は、「与信処理」モデルの変更についてプロセス担当者に連絡します。
プロセス担当者は、プロセスの参加者に変更について通知し、変更されたプロセスが確実に実行されるようにして、実際のプロセス変更を開始します。
今後、プロセスの実行は改善されたモデルに基づいて行われます。
関連項目